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トリップエッセイ 麺屋佐吉 伊藤えん魔(そば処/みれに庵御主人)巷で大騒ぎする程の事もなく2000年になっていた。ドイツでは、うかれた群衆から数名の死者が出たそうだ。記念すべき馬鹿野郎もいたものだ。さぞ「ダンケシェ! イッヒ ビン ゾー フロー!」だった事だろう。(対訳/「有難う! 私はなんか気分いいです!」) 俺は年末の過密スケジュールが祟り、正月から風邪をひいて寝込んでいた。1月1日、午前4時。目を覚ますと、「ようやくお目覚めかね? とっくに2000年になっちまったよ」と相棒猫がアクビしている声が聞こえた。重い身体を起こしてフリスキー・マグロ味『海の栄養バランス』(ドライ)をやると、「こりゃうまい! 2000年の味だ! お前さんもそう思うだろ? 最高だぜミレニアム!」と相棒猫はうまそうに食った。ゲンキンな野郎だ。まぁ、こんなもんだ。西暦なんか知らなかった1000年前の日本人がミレニアムに大騒ぎした記録はない。俺は先祖に従ったまでだ。 2月になり、俺はまた忙しさに追われ始めている。今度の芝居は中近東モノだ。ペルシャ猫やスフィンクスと言う毛のない猫がエジプトにいる事を話すと、「そんな不気味な奴は仲間じゃない。それより俺はこの寒さをどう回避するかが問題だ。それ!」と、相棒猫は炬燵の中に隠れてしまった。やれやれ、次のストーリーはどうしようか。なかなかテンションが上がらない。 以前、トークで「役者達はファンから花束をプレゼントされる。ところが、演出家は花束なんて貰えない」ってグチった。すると次の公演の際、ある3人の娘が俺に花束を贈ってくれた。俺の創る芝居が好だと言う、短いメッセージも添えて。なんだか恥ずかしかった。喜んで花を持って帰ると、「なんだ食えないじゃないか。今度は花でも『花鰹』を貰ってくるんだな」と相棒猫は不満そうだった。楽屋見舞いを花鰹で貰う演出家がどこにいる。受付けで他の花束と並べられたら大恥だと文句を言うと、「お前さんは人に笑われていくらだろう? 贈り物なんざどうでもいいのさ。いいから花鰹貰っとけ。受取り名は『えん魔気付 相棒猫様』だ。いいな?」と逆にたしなめられてしまった。なるほど、相棒猫の言にも一理ある。そうだ。あんた達が劇場に来てくれる、それだけで十分だ。 で、次のストーリーなんだが、どうしたものか・・・。あの娘達のためにも頑張らんとな。 なるほど・・・もっともだ。相棒さんよ。 |
制作ミレニアム話● | 2000年1月、レッドホットチリペッパーズのライブに行った。ノリにノッた。ノリ狂った。だが気付くと一緒に来たはずの女の子がいなくなっていた。独りの僕が最高にロンリーだ! |
ザ・罵詈雑言
(盛井、仲裁に入るも殴打される) |
制作ミレニアム話● | 実は僕はファンクベーシストだ。以前、えん魔デブ(楽器のプロ級)に僕のテクを見せつけてやった。だがその後、何も起こらない。密かに練習する僕だ! |
アリババって何だババ? 浅野彰一(人気男優)おい! アリババ! 何だ、その名前は? 変な名前にも程があるだろ! ジャイアント馬場はいいよ、馬場は。彼は馬場正平と言う名前で、しかもジャイアントだからジャイアント馬場なんだよ。じゃあ、アリババ、君も馬場なのか? まぁ百歩譲ってそうだったとしよう。それにしても「アリ」はないだろ「アリ」は。君は蟻なのか、昆虫なのか? 軍隊のように働くのか? 幼虫好きで嫌いな奴はキリギリスか? えーッ!? しょうもないこと言ってると張り倒すぞ! そんなことよりもアリババ、君は一体何者なんだ? 僕は君をアラジンやシンドバッドと混同して仕方がない。早速、調べてみよう。・・・そうか、君はあの「開けゴマ」の人だったか。えっと、じゃあ、あの魔法のランプと絨毯の・・・? それは違う。それはアラジンだな。だな。では財宝を探してドクロの戦士や大蛇と戦ったのは・・・シンドバッドだな。だな。アリババ=「40人の盗賊を従えて、他民族から自分の国を取り返した人」とある。なる程! しかし意外と知ってるようで知らなかったぞ。実は君は「アリ」と言う名の王家の後継ぎで、亡き父の敵をとるべく盗賊を率いて敵国に立ち向かっていく。そのストーリーは実に壮大でロマンが溢れているではないか。しかも盗賊の親玉 の名「ババ」も受け継ぎ「アリとババでアリババ」。 う〜ん、いい! 実にいい! 俺は惚れたぞ! よーし、俺が君を格好良く演じてやる。アリババ、君のように大冒険するぜ! 40人のランプの精を率い・・・・って何でランプの精なの? しかも40人も? えん魔さ〜ん、あのう、えん魔さ〜ん? ちょっと聞きたい事があるんですけど…。 |
制作ミレニアム話● | PSのゲーム『ゲッターロボ大決戦』にハマッた。その話を自慢したら劇団で誰も相手してくれなくなった。だから今夜も一人で合体する僕だ。ゲッターオン! |