"TREASURE OF FANTOMA"   EVENING EDITION/1999年12月 第11号

〜伊藤えん魔 没ネタ供養展〜
 芝居を企画する段階で、まず頭が痛いのが『タイトル』である。およそのテーマが決まれば脚本にするのは何とかなる。だがタイトルが問題だ。客を「お、これ面白そうだな」と一発でつかむコピーなんて簡単にできる訳がない。特に俺はセンスがない事で特定の地域では有名なのだ。(『伊藤えん魔にセンスがない事を理解する会』/吹田市〜三田市・広報紙86000部既刊)  仕方ないので、いつも超わかり易いタイトルにしている。次は「カラミティ・ジェーン」だ。あぁ、わかり易い。何しろ、KHT時代は「超能力やくざ」「サイボーグ侍」「吸血女子大生」「宇宙板前」(既に嘘あり)など、わかり易い上に奇をてらったものだから、妙チキリンなものばかりになって四万十川。(少し恥じを知る)

 ところが、この法則が一部にはウケたようで、マンガ原作者/久住昌之氏のコラムに取りも上げられたりもした。そこで勘違いした俺は、あらゆる「わかり易いモノ同士」の合成タイトルを乱造したのだった。それらは最早、演劇の自由性を越え、著作権と言う社会性をも破壊していた。勿論、物理的、視覚効果的にも上演不可能だったのである。今回は自戒の意味をこめ、それらを自己告発する。


 まずは子供に夢と死の粛正を与えにやってきた「ゴルゴもん」。悪魔グロ&氷上ミュージカル「デビルマウス」、特撮ヒーロー時代活劇「ウルトラ狼」、天才バカモンスター「バカチュー」(これは最近思いついた)、どれもこれも偉大なる先生方が許可をくれたら、チラシとしてはすげぇキャッチィーだった事だろう。子供には。今後、彼らが陽の目を見る事はまずない。一握りの心残りと敬意をこめて、ここに供養をしておく。さらば「劇場版ゴルゴもん/白昼の死角だよ! のび太の恐竜と殺人マニュアル」。





はみだす東京味● 知る人ぞ知る池袋大塚の「松島」のカツカレー。忙しい舞台の仕込み当日でも、座長命令で買い出しチームが派遣される名店。往復2時間かけて運ばれるその味は・・・長時間煮込まれてスジだけになった肉が豊潤なうまみをだし、温かい白飯の上に乗ったカツは巨大で豪快。とにかくハマリ狂う味。



「不幸を予言する女ってどんな女なのさ?」
            /美津乃あわ


「カラミティ・ジェーン」の「カラミティ」って“不幸を予言する女”と言う意味なんだって。喫茶店でウエイトレスさんが「カラミティ、2です」と言ったら辛子明太子ミルクティが2つ出てくる訳ではない。おいしそうだけど違う。不幸を予言する訳だから、出会う人にいちいち「あなた何月何日の何時頃に不幸になるわよ」とか言う訳でしょ?結構、嫌われそうなタイプの人種ね。でも逆に自分の不幸を予言できるのならそれってラッキーかも。「あ、もうすぐ私、不幸になる!!」と思ったら、その不幸を回避すればいい訳だ。

 でも予測できても、どんな不幸が訪れるのかはわからないのね。じゃあ、余計つらい気持ちになるだけで、何の役にも立たない能力だわ。こんな嫌われそうなタイプの人にお友達とかいるのかしら?きっと彼女達も同類で「不幸を呼び込む女」とか、「不幸を絵に描いたような女」とか呼ばれてるに違いない。

 ところがジェーンってば、今時のファッション(フォークロアと言う)で、流行の最先端を走っちゃってる。おっしゃれーっ!テンガロン・ハットやウエスタン・ブーツなんてコギャルの憧れの的じゃないの。断っておくけど、オールド・フォークロアは、去年公演した「ビリィ・ザ・キッド」の時から決めていた。もしかして私こそ「流行を予言する女」だったらのかしら?

 と言う事は、もし私が次の舞台のコスチュームを“化粧まわし&大銀杏”にしたら、巷のコギャルは皆大銀杏を結って、モード界には化粧まわしの旋風が吹き荒れる筈。街中のブティックに色とりどりの化粧まわしが並び、それを嬉しそうに物色するコギャル達の姿。あぁ、世も末ね。ステキッ・ 娘のそんな姿を目の当たりにして、唖然とするお母さん達の顔が目に浮かぶというもの。もしかしたらジェーンってば「不安を予言する女」だったのかしら? ま、どっちでもいいけど。






はみだす東京味● 「雛寿司」。高級お寿司の食べ放題が売り。もちろん注文するものはトロ、うに主体。店からワサビ大量 追い出し攻撃を受け涙しながらも、食いまくる食いまくる。ファントマ有志総勢9名で閉店まで食い尽くしてやったわ。





それでもビリィが最強だ!
         
/浅野吠える!

 おいおい、この「カラミティ・ジェーン」てのは何の冗談だい? 「ビリィ・ザ・キッド エピソード2」の間違いじゃねぇのか!? しかもチラシが俺よりカッコイイじゃねえか!(もーくやしーもーくやしー) まぁ、済んじまった事は仕方ねぇ。だが、あのわがまま、気まま、卑怯女のジェーンが主役ってのが気に入らねえ。(コラ、美津乃あわ。調子こいてんじゃねぇ、男女ブス!) 元祖ウエスタン・ハードボイルドの主役は俺なんだ。西部最強の男は俺なんだよ! 西部一の早撃ちってのはこのビリィ・ザ・キッドなんだ、畜生め! クソー、こうなったらいかにこのビリィ様がジェーンよりもイカしてるかを皆にお知らせしておこうじゃねえか! 悪く思うなよジェーン?

●理由その1/ジェーンはマツ毛が異様に長いが、ビリィの方がマユ毛が濃い。
(もー最高)
●理由その2/ジェーンは故・淡谷のり子と同じメイクだが、ビリィはノーメイク。
(もー最強)
●理由その3/ジェーンはカッコイイが、ビリィもなかなかニクめない。
(もー何?何?)
(なんじゃこりゃ?? 全然大した事言えてねーじゃねーか・・)

 ガッカリザンネンさんやわ、もー。ええい、とにかく俺は、テメェーには負けねえ! 大阪&東京の2都市でしっかり決着をつけてやるぜ。待ってろよジェーン! 西部最強の男は俺だぜい!!(てめぇは女だが)





はみだす東京味● 「雛寿司」。高級お寿司の食べ放題が売り。もちろん注文するものはトロ、うに主体。店からワサビ大量 追い出し攻撃を受け涙しながらも、食いまくる食いまくる。ファントマ有志総勢9名で閉店まで食い尽くしてやったわ。