鬼を演る事になった。日頃から「鬼畜」と呼ばれている私にとって、ちょっぴりシェイムでレイジな気分。鬼は鬼でも私が演る茨木童子って、皆がよく見かける豆まきで追いかけられる青い奴や、高木ブ−っぽい緑な奴ではなくて、容姿端麗、頭脳明晰、花鳥風月、一石二鳥と、どんな四文字熟語に並べ替えても足りないブラボ−でアンビリーバボーな鬼だそうな。

　さてさて、人に拾われ育てられた茨木童子。ある日、床屋さんのお手伝いをしていたら、客の顔を誤ってカミソリでスパッと切っちゃった。思わず、その血をペロリと舐めたら何ともおいしい！？　それ以来、血の味にハマり、わざと客の顔をスパスパ切っては血をチュルリと舐めていたと言う。客にとっては迷惑千万、流血惨事、花鳥風月、一石二鳥な奴よのう。「自分はア・リトルおかしいぞ？」と、不思議に思った茨木は夜な夜な自分を嘆いていたそうな。ある夜、川面 に映った自分の顔をひょっと見たら何とびっくり！　その形相は人ではなく、鬼そのものの形相をしていたのである。「なんだ、鬼じゃ仕方ないやアットオール」と、結局大江山大鬼／酒呑童子の元へ行き、仲間入りしたのだそうな。ちょくちょく安直ね。
　
　これが通説だが、他にも説がある。「本当は酒呑童子の息子」「本当は女」「女と見まごうばかりの美しい鬼」等、エトセトラ、ベンガルトラ。極めつけはこれ。女装癖がある茨木童子が、いつもの女装で京都一条戻橋でウロウロしていると、豪傑／渡辺綱が通 りかかった。「ちょいとお兄さん、アチキと遊ばないウイズ・ミー？」とたぶらかしたはいいが、川に映った鬼の姿を見破られ、「うぇ！気持ち悪りいッ！　アイ・キル・ユー！」と、腕一本切られちゃったという。｛ＫＩＬＬ＝斬る／国際的洒落｝

　一体、茨木童子の本当の姿はどれなんだろう？　しかし、床屋となれば演技プランはおのずと決まってくるわね。衣装は赤と青と白のシマシマでくるくる回っている。必殺技は熱湯オシボリ顔面 投げ。目眩ましにはシェービング泡攻めだ。敵を鮮やかに切り捨てた後「どこかカユイとこないですか？」と尋ねて去る。まったく、茨木童子とは神出鬼没、百花繚乱、千変万化、花鳥風月、上下左右、一石二鳥で大観覧車な鬼よのう。

by 伊藤えん魔ぽん

　なぁ、東京の俺のダチ公達よ。もっと友達呼んでくれよ。大阪じゃよ。俺達、ついに動員１５００人に手が届いたぜ。公演の度にウナギ昇りって奴だ。おかげで、うちの劇団事務所には大量のウナギがヌメヌメしてる位だ。追い出そうにも掴もうにもヌルヌルしてどうにもならねぇ。これが嬉しい悲鳴ってもんだろ？　違うわな。ところが東京ったらよ、せいぜい３００人ってトコなんだよな。俺の芝居って東京じゃウケねぇのかなぁ。もう、東京公演はやらない方がいいのかもしれねぇ。こう言う時、大阪じゃ「やんぴにする」ってんだぜ。

　いや、そんな事する訳にゃいかねぇ。ハッキリ言ってうちは制作が弱い。つまり宣伝や営業がダメな訳だ。誰か頭の切れるイカしたプロデューサーが現れないものか。イカれたプロレーサーじゃ恐いね。うちなんか今のうちにツバつけとけば、売れたら儲かるぜ。売れなきゃ損するぜ、きっと。当たり前だわいな。「よし、なら俺がやってやるぜ」って東京のダチ公いねぇか？　ニューオカマでも、巨大な幼稚園児でも火星人タヒチアンダンサーでも誰でもいいんだ！　あかんわな。さもなきゃ、やんぴにしちゃうぜ？　とにかく、次の「戦闘鬼」を見てから判断してくれたらいいからよ。頼むぜ。ったく。