義理チョコ文明


バレンタイン。この時期、百貨店には広大な特設フロアが開設される。今回は、その男子禁制の聖地に踏み込んでみよう。果 たして、そこには男の知らない文明が華開いていた。

  まずは恐るべき進化を遂げた『義理チョコ文明』。売り場フロントに「誤解しないで! ほんの気持ちです」と言う派手なポップボード。その名の通り、完全義理用に企画されたチョコが最も大きなスペースを占有していたのだ。値段は二、三百円程。パッケージには「お友達として仲良くね 」「お世話になってます!」等、義理メッセージがハッキリ書かれていて、「愛情0!」と言う前提は嫌でも確認できる。義理を本気にされたら困る、女性の防衛心理だろうが、これを貰う側の気分は複雑だ。だって、「誤解しないで!」って・・・しばいたろか。反して、色気ムンムン派御用達『オッパイチョコ』には、「豊満なオッパイを自分の手で揉んでいる」過激バージョンが登場。これなら双方、それなりの駆け引きが楽しる。嬉しそうに見とれていると、女子高生に後ずさりされた。パロディ商品も人気で、カップ味噌汁、藁納豆、駅弁等のイミテーションがよく売れていた。明治の「ミルクチョコ」を30×60センチに拡大した「超巨大板チョコ」は、なんか迫力があってよろしい。最近はプレゼント用ではなく、自分用に購入するのが基本らしい。高いモノは自分で。男には義理用の安モノを。なるほど、これも平成浮世事情のようである。