張り紙 その味わい深さ


張り紙は文化である。商業、思想、悪戯他、製作者の主義主張を神出鬼没に訴えかける。今週はそんな味わい深い張り紙を幾つか紹介しよう。

  まず上段、「関西風 東大家庭教師」。これは東大本学舎のある東京駒場の電柱に張られていた。当然、この周辺は石を投げれば東大生にあたる。家庭教師ひとつにしても、個性を発揮しなければ仕事にあぶれる激選区なのだろう。そこで、この学生は関西出身である自分のキャラクターを生かし、秀逸な宣伝コピーを生み出した。東大生なのに関西風。何という味わい深さ! さらに彼は地方の出身である友人まで巻き込み、「どさんこ東大生」「九州男児東大生」というバリエーションまで準備した。その調子で関西風大蔵官僚や関西風エジプト考古学者等になって貰いたい。

  また左下は大阪天満にある雑貨屋の張り紙。「ペットボトル各種 冷えていません」。これは潔い。店主の合理的な商魂が感じられる1枚である。
  右下は、某私立高校前のたこ焼き屋に張られていたもの。ズバリ、「キムタク始めました 580円」。アイドルタレントなる職業が、思い立って始められるものかどうかは分からないが、とにかくこの店では始めたらしい。キムタクが580円なら安いものである。その気になれば「ヒロスエ始めました」とか、「竹中直人始めました」等も可能と言う事だろう。検閲考証なしの直球告知。かく、張り紙とは味わい深い。