はしのはなし

日本人の食文化の中で「箸」は最も重要なアイテムである。故に箸にまつわる逸話、マナー、文化すべてに軽からぬ 歴史がある。

 箸の生産地として有名な奈良県吉野にある「箸の博物館」。ここには古今東西のあらゆる箸が展示されていて、「ヤマタのオロチの肉を拾った」と云う巨大な箸や、耶馬台国の身分の高い人達が腰に下げていた革製の箸ホルダー (何だか「荒野の早食いガンマン」みたいで格好いい!)があった。また、マナーに至っては「よくもそこまで気にするものだ」と感心する程ちゃんと作法があり、すべてマスターするのは中々難しい。

 わかりやすい所で、まず「刺し箸」と「指し箸」。前者は芋の煮付けなどを箸で挟まずに刺す行為、後者は会食中の相手を箸で指す行為。「迷い箸」は御膳の上で箸をフラフラ迷わせる事。これらはどれも非常にマナーが悪いとされる。判断が難しいのが、茶碗のご飯を箸でガツガツかきこむ「かきこみ箸」。これは最も下品な行為とされているものの、「お茶漬けを食べる場合に限り許される」そうである。茶碗や皿を箸でチンチキ叩く「たたき箸」も絶対×。つまり、この観点からすると「チャンチキおけさ」は言語道断の所業なのである。とは言え、土佐高知では古くから「はし拳」なる宴会余興が盛んだし、綿菓子・焼きとうもろこし等はやはり箸で刺して欲しい。 結論=「箸とは偉大なる文化遺産であり、愛すべき生活必需品である」。