哀れ、ネタ尽き怪人!
 仮面ライダーは十数代目に突入すると言う長寿ヒーロー。つまり、敵の怪人も相当数いる訳だ。その中には何とも情けない容姿と能力を設定された奴も多くいる。昭和46年に始まった当初、登場する怪人は「クモ男」「蜂女」等シンプルでわかりやすかった。

 だが次第にネタは尽き、昆虫・動物に武器や歴史上の人物等を掛け合せた乱作時代に入る。「カメバズーカ」「ヒトデヒットラー」ETC。中でも「カナリアコブラ」「隠れ蓑テントウムシ」は、パンチもためらわれる弱そうで愛らしい怪人だった。

 しかし、それすら行き詰まった時、制作スタッフは世にも奇妙な案を採用する。生物と遊戯を掛け合せ始めたのだ。まず、狂暴な熊と手旗信号を組み合わせた「フラッグベア」。襲いかかる前にライダーに合図を送る。襲う前に合図しちゃマズイだろう! 「一輪車鬼」(オニメンゴ)は一輪車に乗って暴れ回る。周囲からは絶叫よりも拍手が起きそうな奴である。極めつけは写 真下の二人。「ツリボリシャーク」(ツリボット)「ワナゲクワガタ」。もう、何も言うまい。ツリボリシャークの必殺技は池から釣り上げた小魚を次々に投げつけるだけ。釣り人と思って「釣れますか?」と訪ねた途端に襲いかかってくる。それじゃ、ただ機嫌の悪い釣り親父だ。ワナゲクワガタは輪っかで相手の身動きを封じる。奴の友達に「射的カミキリ」や「焼きソバアルマジロ」がいる事はまず間違いない。

 今後も、彼らがどんな怪人を生み出すのか大いに期待したい。