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大きなビルのエントランスに掲げてある金看板。コンクリートにガッシリと埋め込まれた黒地に金の文字板には、苦労の末、財をなした立派なビルを建てたオーナーの感慨が込められている。だがよく見ると、立派さゆえに妙なものもある。 まず、言わずと知れた百貨店の老舗『伊勢丹』。昭和49年に建設された巨大ビルには「大規模小売店鋪」とある。待てよ? 大規模な小売店鋪って、つまり大店鋪じゃないのか? 小売店鋪から、やっと大企業となったものの、自分の会社が大規模な小売店鋪なのか大店鋪なのかわからなくなってしまったみたいだ。 次の金看板はレオパレスの「ラルク アン シェル」。同社は保証金なしで入居できる家賃設定で若者層に人気が高い。鉄筋コンクリートの新築で、立派な表札のマンションには誰もが住みたいものだ。だが、いくら若者向けと言ってもこの名前はベタすぎる。ピザの宅配を注文する時、「ラルクの田中です」は恥ずかしい。と、思いきや!? このビジュアルバンド系マンション。他にも「ルナシー」「ラクリマクリスティー」等があり結構人気を集めているとか。まじかよ。 最後の「大名古屋ビルヂング」。さすが『金の鯱』の国。金と黒はお手のものだ。名古屋にわざわざ大を付けたビルヂング。一代で成功したオーナーの奥歯にも金歯が並んでいるに違いない。よ〜し、俺が建てるビルには「大えん魔エロスミス・ビルヂング」と名づけよう。 |