娯楽の最終兵器 青空カラオケ
 フェスティバルゲートのオープン熱が一段落した新世界を探検してみた。新しい娯楽施設は中々素晴らしかったが、やはり興味を魅かれたのは浪速の下町文化であった。
 通天閣、B級映画劇場、スマートボール等、情緒溢れる街並は歩くだけで楽しい。しかし、それらを凌ぐ強烈な場所を発見! その露店群は天王寺動物園の裏手にあった。何軒か並ぶ屋台は「タコ焼き」「金魚すくい」ではない。なんと、全店「カラオケ屋」なのである。

 6、7店舗程あるそれは「青空カラオケ」と呼ばれ、少し以前から親しまれているらしい。店が隣接しており、別々の店先で歌っている客はお互いさぞうるさかろう。ところが、客達は一向に気にするでもなく、皆気持ちよさそうに大声で歌いあげている。
 取材中ずっと、「浪花恋しぐれ」「函館の人」「ギンギラギンにさりげなく」が3Dで聞こえていた。中には大音量に迷惑がる人もいる。だが、思いきってあの輪の中に入ってしまえば実に楽しそうなんである。

 よく煮込まれた「おでん」とビールをやりながら、一曲200円也。全国広しと言えども、街頭でカラオケを楽しむ文化は他にあるまい。どこかのカラオケボックスで徹夜で大騒ぎし、翌朝スーツとネクタイをギトギトにさせて始発で眠りこけてる連中より、はるかに健康的だと思ってしまった。取材後、筆者の姿が見えなくなるまで「夢想花」のサビ「とんでとんでとんで・・・」を叫び続けてくれたおっさん(写 真)の笑顔がなぜか太陽のように見えた。